木戸を乱暴に開けて、もつれながら座り込んだ侍は新撰組三番隊長の斉藤一である。杖のようについた彼の業物の、鞘の鯉口と切羽の間から血油がにじみでている。今しがた高台寺の闇にまぎれて、策略の隊士を見事な胴払いで切り捨てたところである。左利きの斉藤は、隊士の左わき腹から右のあばら骨を見事に捌いてた。

「親父・・酒をだせ、ぐずぐずするな・・冷でかまわぬ。」「へい・・ただいま、あてはれんこんとめざしでごぜえます」・・。斉藤はいっきに飲み干すと、額の脂汗をぬぐった・・・。
ここは、京都三条木屋町の居酒屋。先代のご主人は、南座興行の役者や芸者の所謂タニマチであったようです。

名物は「辛子れんこん」、ほかにおばんざいというごくありふれた品書きですが町屋としての渋い店構えと、碁盤ほどの小さな座敷机をはさんで小ぶりの座布団に座り、しんみり味わう粗肴の品は本当に新撰組の時代にワープしたような別格の雰囲気でした。
京都 西木屋町三条下がる 「れんこんや」 デンワ 221-1061
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